新規事業における7つのリスクと対策方法を徹底解説

新規事業を成功させるためには起こりうるリスクを予測して理解し、対策を講じる必要があります。代表的なリスクには経営リスク、市場リスク、人材リスク、技術リスク、法律・政治リスク、社会的リスク、災害・事故リスクがあります。本記事では、新規事業を始める起業家やビジネスパーソンが直面しうる7つのリスクに焦点を当て、それぞれのリスクを軽減または回避するための対策方法を解説します。

新規事業のリスク分析の重要性

リスク分析の基本的な方法として、まず、起こりうるリスクをリストアップし、それぞれが事業に与える影響とその発生確率を評価します。次に、これらのリスクを総合的に評価し、優先順位をつけて対策を立てます。SWOT分析（強み・弱み・機会・脅威）やPEST分析（政治・経済・社会・技術）などの分析ツールを用いると、社内外の様々な要因からくるリスクを俯瞰的に評価し、戦略の策定やビジネスプランを最適化することもできます。

これらの分析を通じて潜在的な問題を特定し、対策を事前に講じることで、事業の持続性と企業価値を確保できるのです。

新規事業における7つのリスク

新規事業の立ち上げは大きな可能性を秘めていますが、同時に様々なリスクも内包しています。対策を立てないまま進めると、いざ事業が困難に直面したとき、最悪の場合、痛恨の痛手となる可能性があります。

各リスクに対しては、早期に正確に把握し、具体的で実行可能な対策を速やかに行えるよう事前に準備しておきたいもの。これにより潜在的な損失を防いでリカバリーができますし、機会を最大限に活かすことも可能になります。リスク管理と機会の捉え方のバランスを考えていきましょう。

経営リスク

新規事業における経営リスクは、企業の業績や存続に悪影響を与える可能性が多くあります。たとえば、市場ニーズを正しく理解せずに商品開発を行うような戦略の不備、高リスクな投資を行って大損失となるような財務管理、新商品の市場投入が遅れて競合他社に出し抜かれるような意思決定の遅延などが挙げられます。

経営リスクへの対策としては、現実的なビジネスプランの策定です。経営陣の意思統一と計画の徹底的な実行が求められます。また、組織の柔軟性を保ちながらも、効果的な組織運営の構築が重要です。

市場リスク

市場リスクは、新規事業が市場の変動や不確実性によって影響を受けるリスクです。たとえば、顧客の需要の変化や競合他社との価格競争、新たな規制の導入などが含まれます。とくに、新規事業で市場ニーズの正確な把握や競合分析を疎かにすると、事業の方向性を見失い、経済的損失を招く恐れが非常に高まります。

対策としては、事業計画の初期段階での徹底した市場調査を行うことです。顧客の動向や好み、市場トレンド、競合状況を綿密に分析し、それに基づいた製品開発や価格設定、販売戦略を検討します。市場の変化に柔軟に対応できるビジネスモデルの構築と、継続的な市場モニタリングも欠かせません。

人材リスク

人材リスクは、人材の確保や育成、保持に関連するリスクです。たとえば、新規事業に適切なスキルをもった人材の不足や、チームビルディングがうまくいかずに優秀な人材が流出したり、リーダーシップを取れる人材がいない等です。新規事業はプロジェクトメンバーとなる人材を適切にマネジメントすることが事業成功のカギとなりますので、人材リスクはできるだけ発生しないようにしたいところです。

対策としては、継続的な教育・トレーニングプログラムを提供してメンバーのスキルアップを支援したり、チームビルディング活動を通じた組織の一体感の醸成を行ったり、リーダーシップ開発プログラムなどを導入してリーダー層の育成を図るなどを行います。

技術リスク

技術リスクとは、新しい技術の採用や開発の過程で発生する恐れがあるリスクです。たとえば、新たに開発された技術が期待した性能を発揮できなかったり、新技術の導入により未予測の問題が発生した場合も技術リスクの一部とされます。新規事業では、とくに技術の未熟や未知の技術への依存は、プロジェクトの遅れやコストオーバー、時には事業の致命的な失敗に繋がりやすいので、とくに注意が必要です。

対策としては、技術選定段階での徹底したリスクアセスメント、継続的な研究開発及び技術動向のモニタリングを行います。技術開発の際は、プロトタイピングやテストを頻繁に行い、技術の適用性と信頼性を確認します。

法律/政治リスク

新規事業では新しい市場や産業に進出することも多く、新たに直面する法律の制約や政治的な変動からくるリスクも併せて考える必要があります。また、新しい技術を採用する場合、法律/政治リスクは深刻な問題となる可能性があるため注意が必要です。国内法が新技術に対応していない、もしくは法律の「グレーゾーン」が存在する場合、事業運営において不確実性が発生する可能性が高いです。

対策としては、専門の法律顧問の協力を仰ぎます。事業が法律的に安全であることを確保し、可能な法的リスクを事前に評価・管理する必要があります。また、法律の動向を継続的にモニタリングし、新たな法律や政策の変更に迅速かつ適切に対応できる体制の構築を行います。これによって法律/政治リスクを最小限に抑え、新規事業を進めながら、持続的な成長を安心して進めていくことができます。

社会的リスク

社会的リスクは、社会や公共の利益、価値観、期待に関連して発生します。たとえば、製品やサービスが環境に悪影響を与える場合、消費者や市民団体からの批判や抗議が起こったり、顧客の個人情報を不適切に取り扱った場合は信頼を失い、法的責任を問われます。また、製品が健康に害を及ぼす可能性があると、製品のリコールや訴訟につながる可能性もあります。

このように企業の行動が社会的な価値観や期待に反した場合や、企業活動によってコミュニティに悪影響を与えた場合は、重大な経済的損失だけでなくブランドイメージの損傷、法的問題を引き起こすことが考えられます。

対策としては、企業はステークホルダーとのコミュニケーションを深め、社会の期待や価値観を理解し、社会的責任（CSR）を果たせるよう努めます。また、企業の価値観や行動基準を明確にし、それを従業員に徹底します。これらの取り組みによって、企業は社会と調和し、社会的リスクから生じる損失やダメージを防ぐことができます。

災害/事故リスク

災害/事故リスクは、自然災害や事故、その他不測の事態が事業に与える潜在的な影響のことです。地震・火災・洪水などの自然災害や、機器の故障、人為的なミス、サイバーアタックなどの事故が事業の運営を妨げ、利益を損なう可能性は、つねに存在しています。

この種のリスクは予測困難で、その影響も広範囲に渡りやすく深刻です。したがって、事業継続計画（BCP）の策定、災害復旧計画の整備、定期的なリスク評価と対策の見直し、従業員への訓練と意識向上、適切な保険の加入など多岐にわたる対策が必要です。これにより災害や事故が発生した際のダメージを最小限に抑え、迅速に事業の回復を図ることができます。

新規事業のリスク対策方法

リスクは適切に管理し、対策することで、事業の持続的な成長を促すことができます。潜在的なリスクを明らかにして対策を行い、リスクマネジメント体制を構築して発生を未然に防ぐ。そして、準備をしておけば、何かが起こった際は迅速かつ適切に対処できます。

また、精緻なロードマップの作成により、事業の方向性を明確にし、計画的に進めることも可能になります。これらの手法を組み合わせることで、新規事業の成果を最大化し、リスクを“機会”に変えることもできるかもしれません。

リスクマップを使ってリスク分析を行う

リスクマップは、リスクの大小を比較できるように書き出した図表のことです。リスク発生の頻度や影響度を俯瞰的な視点で捉えて分析するフレームワークで、これをもとに、重大なリスクから順に対策を講じます。描き方はケースバイケースですが、たとえばこんな軸で考えられます。

• 縦軸：経営への影響（大・小）／横軸：起こる可能性（低・高）
• 縦軸：経済的な損失（大・小）／横軸：発生する頻度（少・多）

この分析により、企業はリソースを効果的に配分し、最も重大なリスクに優先的に対応できます。また、リスクマップを定期的に見直すことで、経営環境の変化や新たに生じたリスクに迅速に対応し、事業の持続的な成長と安定を支えることができます。リスクマップの作成と利用は、新規事業の成功に向けての戦略的な計画作りに欠かせないステップのひとつです。

リスクマネジメント体制を構築する

新規事業において、「リスクマネジメント体制を構築する」とは、事業活動に伴うリスクを系統的かつ効果的に管理・監視する体制を築くことを意味します。具体的には、以下のような点を実行します。

• 組織全体でのリスク認識の共有
• リスクアセスメントの実施
• リスク対策の計画・実行
• リスク対策のPDCAサイクルの評価・改善

リスクマネジメント体制の中核には、リスク管理の方針や基準を明確にし、組織内での役割や責任を確立することが必要です。そして、定期的なリスク評価と、それに基づく適切な対策の立案・実行を通じて、リスクを最小化し、事業の持続可能性と安定性を確保します。とくに新規事業では未知のリスクが多いため、柔軟かつ迅速に対応できるリスクマネジメント体制の構築が、事業成功のカギとなります。

ロードマップを作り込む

ロードマップは、事業の目標達成のための戦略的かつ具体的な計画をまとめたもので、未来のビジョンや目標、具体的なアクションプランをプロジェクトメンバーや、社内外のステークホルダーに誤解なく共有することができます。新規事業においてロードマップの作成と共有はリスク対策の一環としても重要度が高いです。

というのも、ロードマップは市場分析や競合分析、SWOT分析などが含まれ、これらをもとに製品開発・マーケティング戦略・販売戦略などの具体的なアクションプランを踏まえて時系列で描きます。全体の流れが可視化されているため、チーム全体でビジョンと目標を共有して、具体的に実行できますし、計画の逸脱や誤解からくるリスクを減少させることができます。

新規事業の方向性を明確にして共通認識をつくり、リソースも時系列に応じて適切に配分できるのがロードマップであることはご理解いただけたと思います。予期せぬリスクや問題が発生した際にも、ロードマップを参照し、迅速かつ適切に対応することができるので、リスクの影響を小さく抑えることもできるのです。

まとめ：新規事業のリスクとその対策方法

新規事業を成功に導くためには、多様なリスクを正確に理解し、適切に対処することが求められます。ここまで解説してきたとおり、経営、市場、人材、技術、法律・政治、社会的、そして災害・事故といった様々なリスクがあり、それぞれに独自の対策が必要です。

しかしながら、リスクに対する戦略的アプローチを組み合わせることで、新規事業は稼働初期から健全な運営ができ、持続的成長の基盤を築くことができます。UX Design Labは、ユーザーエクスペリエンスとデザイン思考に焦点を当て、事業の成功に必要な創造性と革新性を提供しています。新規事業立ち上げにあたってのリスク分析や対策の提示についても、専門チームがお力添えいたします。市場での競争力を向上させ、ユーザーの期待を超える価値提供を行っておりますので、気軽にお問い合わせください。

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