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新規事業開発

【実例紹介】新規事業のロードマップを作成する5つのステップ

【実例紹介】新規事業のロードマップを作成する5つのステップ

目次

新規事業のロードマップとは

新規事業を展開する際、明確な指針をもったロードマップを作ることは、成功のカギとなります。本記事では、ロードマップを作る5つのステップをテーマに、ビジョンの明確化から実行計画の策定、評価指標の設定まで、実践的なステップを解説します。

ロードマップとマイルストーンの違いから具体的な成功事例まで、新規事業のリーダーが知っておきたい重要ポイントをまとめました。さらに、成功の秘訣であるユーザーエクスペリエンス(UX)の重要性にも触れ、理解を深められるようサポートします。

新規事業にロードマップが必要な理由

ロードマップは事業の方向性を明確にし、組織のリソースを適切に割り当て、期限を管理するためのものです。新規事業の立ち上げは、不確実なことばかりです。こうした中でロードマップは、全体のビジョンを描き、フェーズごとのアクションプランを示し、組織の意思決定や優先順位の設定をする道標になります。

また、ロードマップを共有することで、チームのメンバーや社内外のステークホルダーが同じ目標に向かって協力しやすい環境づくりのベースにもなります。これから進むマイルストーンと期限を設定することで、プロジェクトの進捗管理がしやすくなり、プロジェクトの遅れやコストオーバーを未然に防ぐ役目も果たしてくれます。

ロードマップとマイルストーンの違い

この2つの違いは、目的と機能にあります。

  • ロードマップ
    事業やプロジェクトの全体像を表し、ビジョン、目標、戦略、タスク、タイムラインなどを統合して示します。これによって、プロジェクトの進捗と方向性が一目でわかり、チーム全体の認識の統一やコミュニケーションをサポートする役割をもっています。
  • マイルストーン
    プロジェクトの進捗においての重要な中間目標です。これはプロジェクトが正しい方向に進んでいるかどうかを確認し、必要に応じて調整を行うためのチェックポイントとして機能します。マイルストーンは具体的な成果物や達成すべきタスクと紐づけられ、達成されると次のフェーズへ移行します。

まとめると、ロードマップは「何を・なぜ・どのように」達成するかのビジョナリーな計画書で、マイルストーンは「いつ・何を」達成すべきかを示す具体的な目標です。両者は相互に関連し、プロジェクト管理において進捗管理や全体を把握する際の重要な役割を果たします。

新規事業のロードマップの作り方

新規事業のロードマップの作り方を理解することは、ビジネスを成功に導くために知っておいたほうがいいことの一つです。ロードマップを描く際は、ビジョンやゴールの明確化、短期・中長期の目標設定、効果的な戦略の策定、具体的な行動・マーケティング計画の作成、及び評価指標の設定などを書き入れますが、全体を見渡した上で書くためには、各内容を把握する必要があります。

新規事業の初期段階で正しい方向性を確立し、計画的に進めることで、リソースの最適化、リスクの軽減、そして最終的なビジネスの成功の見通しを立てられます。具体的で実行可能なアクションプランを立てることが、事業成功のカギとなりますが、その基盤となるのがロードマップです。その内容をまとめるために知っておきたいことを、項目ごとにまとめました。

ビジョン/ゴールを明確にする

ビジョンやゴールを明確にすることは、ロードマップ作る最初のステップで、事業の方向性を定める基盤となります。ビジョンは事業の究極的な目指すべき未来を描き、ゴールはそのビジョンに向けて達成すべき具体的な目標を設定します。

  • ビジョンの設定
    事業が追求する価値や企業の存在意義、達成したい大きな夢を明確にします。ビジョンは、チームメンバーやステークホルダーにモチベーションを提供し、共通の理念をもって協力する基礎を築く役割を果たします。
  • ゴールの設定
    ビジョンを具体化し、達成可能な形に落とし込みます。ビジネスの成長、市場シェアの獲得、利益の増加など、数値で測定可能な具体的な目標を設定します。これらのゴールは、短期・中期・長期の時間軸で分け、段階的に達成できるように設定します。

ビジョンとゴールの明確化は、事業の道しるべを確立し、それに沿った戦略やアクションプランの策定ができるようになります。視覚化・言語化されることで組織内の認識が統一され、事業全体が積極的に前進できるようになります。

目標(短期/中長期)を設定する

ビジョンに到達する途中の目標(短期/中長期)を設定すると、チーム全体が同じ方向を見て動くことができ、進捗の管理や評価がしやすくなりますし、行動や指針にズレがなくなります。

  • 短期目標
    すぐにでも取り組み、数週間から数ヶ月以内に達成できる小さな目標です。これらの目標は、チームのモチベーションを高め、ビジョンに向かう一歩一歩を具体的に示します。たとえば、初期の顧客獲得数やウェブサイトの訪問者数の目標などが含まれます。
  • 中長期目標
    ビジョンの実現に必要な、より大きな成果を視野に入れた目標です。通常数ヶ月から数年の間隔で設定し、事業の成長や拡大、市場でのポジション確立に寄与します。例として、市場シェアの獲得率、利益率の向上等が挙げられます。

目標を設定する際には、SMARTの法則(具体的・測定可能・達成可能・関連性・時間制限)に基づいて、明確かつ達成可能なものにする必要があります。具体的かつ測定可能な目標を定め、適切な期間内に達成可能で、ビジョンと整合性があるように心がけます。これにより、チームの連携や活動がしやすくなり、期待される結果の達成に向けて一丸となって進むことができます。

戦略を策定する

設定したビジョンと目標に到達するための具体的なアプローチや方針を決定する過程が、戦略の策定です。このステップでは、市場分析、競合分析、SWOT分析などを用いて、外部環境と自社の強み・弱みを詳細に把握し、これをもとに最適な戦略を設計します。戦略設計における分析の種類は多種多様ですが、最低限やりたいのが下記項目です。

  • 市場分析
    対象市場の規模、成長率、顧客のニーズや行動を分析し、市場の潜在性や事業展開の可能性を評価します。
  • 競合分析
    競合他社の強み・弱み、市場でのポジショニングを把握し、差別化のポイントや市場での優位性を確立できるかどうか分析します。
  • 戦略の選定
    上記の分析をもとに、ターゲット顧客の特定、価値提案の設定、市場進入戦略、価格戦略、プロモーション戦略などを検討し、具体的な戦略を策定します。

これらのステップによって、ビジョンと目標に沿った行動計画を具体的に立てる土台を作ることができます。戦略が明確かつ実行可能であることで、プロジェクトメンバーが同じ方向を目指して動くことができ、事業の成功確率を上げることができます。

行動計画/マーケティング計画を立てる

このフェーズでは、策定した戦略をもとに具体的なアクションを計画します。ここでは、特定のタスク、期限、責任者を明確にし、計画の実行とモニタリングのためのフレームワークを作ります。

  • 行動計画の作成
    各戦略下で達成すべき具体的なタスクや活動をリストアップします。これには、開発スケジュール、営業活動、パートナーシップの確立などが含まれます。そして、各タスクに対して期限と責任者を割り当て、進捗を確認できるようにします。
  • マーケティング計画の策定
    製品やサービスの価値を最大化し、顧客獲得のためのマーケティング戦略を立てます。ターゲット顧客、ブランディング、価格設定、プロモーション戦略、コミュニケーションチャネル等を考慮し、具体的なプランを考えます。
  • リソースの配分
    必要なリソース(人的リソース、財務リソース等)を特定し、必要に応じて配分します。リソースの確保と効率的な利用がプロジェクトの成功の必須条件です。
  • 進捗のモニタリング
    計画の進捗を定期的に確認し、必要に応じて調整します。計画の遅れや偏りを早めに見つけ、早い段階でリスクを軽減するのが目的です。

戦略の具現化と実行のための明確な道筋を描き、事業の動力と方向性を確立するのが、この計画を立てるフェーズの重要事項です。計画に基づいてチーム一丸となって取り組むことで、成功への扉を開いていくことができます。

評価指標を決める

評価指標を決めるのは、事業の進行と成果を測定し、成功の度合いを評価するためです。逆に決めないと、何を基準に進捗しているのかわからなくなってしまいます。戦略の有効性を確認し、必要に応じて方針の修正や調整するためにも必ず決めておきます。

  • KPIの設定
    事業の目標達成度を測るためにKPI(主要業績評価指標)を定義します。売上、利益率、市場シェア、顧客満足度など、事業の成功を判断するための具体的な数値や指標に対して設定します。
  • 目標値の設定
    各評価指標に対して、達成すべき目標値を定めます。事業の期待値を具現化し、チームの動機づけと方向性の確認に役立ちますし、目標値を設定すると、進捗の度合いもわかります。
  • 測定の定期化
    評価指標の測定は定期的に行い、進捗の確認と評価を行います。測定の結果をもとに計画の見直しや調整を行い、事業の適切な進行と改善を行います。
  • フィードバックの仕組み作り
    評価結果は改善のためのフィードバックとしてチームに共有します。これにより、チーム内で起こる事象に対する改善が促され、持続的な成長の支えとなります。

評価指標を決めることで事業のパフォーマンスと成功の可能性を把握し、継続的な最適化を図ることができます。新規事業が競争力を保ち、市場での持続可能な事業になっていくプロセスに評価指標が欠かせないことを、覚えていてください。

新規事業のロードマップの例

新規事業を展開する際に効果的なロードマップの一例として、WAmazing株式会社様、Sasuke Financial Lab株式会社様の事例をご紹介します。下記は弊社GIGで取り組んだプロジェクトですが、実際にプロジェクト進行時に作成したロードマップとは異なります。

新規事業プロジェクトを行うにあたっては、ビジョンの設定から始まり、明確な目標、戦略、タスクの洗い出し、そして実行可能なタイムラインの設定を通じて、事業の方向性を明確にします。続いてビジョンと目標をを達成するための具体的な行動計画を定義し、各フェーズでの中間確認を行いながら、プロジェクト推進します。計画通りに事業を展開する過程を、下記のロードマップからつかんでいただけると思います。ご自身で作成する際の参考になれば幸いです。

【事例】多言語メディアサイトを“いい感じ”に仕上げるメディア制作プロジェクト

WAmazing株式会社様と弊社GIGで取り組んだプロジェクトを例に作成したロードマップです(※実際のロードマップとは異なります)。ビジョン、目標、戦略、タスク、そしてタイムラインを明確に設定し、効率的にプロジェクトを進めるためにまとめています。

「日本の情報といえばWAmazing」という位置づけのメディアを構築し、より多くの新規流入を得ることを目指します。このビジョンの実現のために、明確な目標と戦略を定義し、それぞれのタスクとタイムラインを計画しています。

WAmazingのサイト画像

ビジョン
  • 「日本の情報といえばWAmazing」というレベルのメディアを構築し、WAmazingを情報発信のプラットフォームとして確立させる
目標
  • 新規流入を増加させる
  • サイトリリースを約3ヶ月で達成する
  • ユーザーにとって使いやすく、魅力的なデザインのサイトを構築する
戦略
  • 自社メディアを展開し、コンテンツを作成
  • WordPressを使用し、更新のしやすさを重視する
  • 多言語展開を行い、地域ごとにコンテンツをカスタマイズする
  • カジュアルでバランスの取れたコミュニケーションを利用してプロジェクトを推進する
タスク
  1. サイトリニューアルきっかけの確認
  2. 開発体制の確立とリソースの確保
  3. 多言語展開のための運用策定
  4. ステージング環境でのテストとフィードバック
  5. テレビ電話での定期的な認識合わせ
  6. Slackを利用したコミュニケーションの確立
  7. デザインのブラッシュアップと最終確認
タイムライン
  1. プロジェクト開始:プロジェクトのビジョン、目標、戦略の確認と合意
  2. 中間確認:進行状況の確認と必要に応じて戦略やタスクの調整
  3. プロジェクト終了:全タスクの完了、最終確認、サイトリリース

【事例】保険ロボ・アドバイザー「ドーナツ」のサービスリリースプロジェクト

Sasuke Financial Lab株式会社と弊社GIGで取り組んだプロジェクトを例に作成したロードマップです(※実際のロードマップとは異なります)。ビジョン、目標、戦略、タスク、そしてタイムラインを明確に設定し、効率的にプロジェクトを進めるためにまとめています。

伝統的な保険サービスの硬いイメージを変え、対面で相談するより気軽な保険提案ができるサービスを目指して保険ロボ・アドバイザー「ドーナツ」をリリース。気軽な保険提案を実現したいと考えています。ビジョンを実現するサービスリリースのために、明確な目標と戦略を定義し、それぞれのタスクとタイムラインを計画しています。

ドーナツのサイト画面

ビジョン
  • 保険の新しいかたちを提供し、ユーザーに気軽に保険について考え、利用してもらうための「ドーナツ」プラットフォームを構築する
目標
  • ユーザーフレンドリーなデザインを用いて、保険について考える際の障壁を下げる
  • 潜在的な顧客によりアクセスしやすいサービスを提供
  • ユーザーに最適な保険提案を可能にするシステムの開発
戦略
  • おもに第一子を持つ30代前半の女性をターゲットとする
  • SPA(シングルページアプリケーション)開発を効率的に進める
  • リモートワークを積極的に活用し、効率的な作業環境を確立
  • ユーザーフレンドリーで親しみやすいデザインの採用
  • 「ドーナツ」をより多くの人々に知ってもらうための戦略的な広告・宣伝活動
  • チーム間での密なコミュニケーションを確保
タスク
  • 市場調査と顧客ニーズの分析
  • UI/UXデザインの開発
  • フロントエンドおよびバックエンドの開発
  • テストとフィードバックの収集
  • マーケティング戦略の実行
  • サービスのリリースとモニタリング
タイムライン
  1. プロジェクト開始:企画の構築と市場調査を開始
  2. 中間確認:UI/UXデザインと開発の進捗を確認。初期のフィードバックを収集し、改善点を洗い出す
  3. プロジェクト終了:サービスのローンチ。テストと最終確認を完了。マーケティング戦略の初期段階を実行

なお、紹介した事例はいずれも新規事業の参入に成功しております。

ロードマップを引いた後の参入については関連記事「新規事業参入の方法論。市場選択からプレゼン方法、事例、失敗例を解説」もあわせてご覧ください。

新規事業成功の鍵はUXに

新規事業の成功のカギは、ユーザーエクスペリエンス(UX)の最適化にあります。ロードマップは、企業が明確なビジョン、目標、戦略、タスク、タイムラインを設定し、優れたUXを実現するうえで極めて重要です。リソースの最適な配分、チームメンバー間の明確なコミュニケーション、及びリスク管理を可能にするからです。

Sasuke Financial Lab株式会社様とWAmazing株式会社様の例を見てもご理解いただけるように、提供サービスは共にユーザーフレンドリーで、直感的なインターフェースを持ち、それによって顧客の満足度とエンゲージメントを向上させています。これは事業の初期段階からリリースに至るまで、ユーザーのニーズと期待を中心に据え、それを満たす方向で開発が進められたためです。

UX Design Labは企業がユーザーのニーズと期待を理解し、満たすためのデザイン思考や方法論を必要とした際、そのノウハウと技術を提供している専門家集団です。自社で手がけたい事業が市場で競争力を保ち、持続可能な成長を遂げるうえで必要なサポートを惜しみなく行っています。新規事業のロードマップを作成し、UXを最優先に考えたサービスを検討する際に、気軽にご相談ください。

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UX Design Lab編集部
記事を書いた人 UX Design Lab編集部
UX Design Labは、ユーザー視点・マーケティング視点の両面からWeb開発や新規サービス立ち上げ、サイト制作の戦略設計をサポートするUXコンサルティングサービスです。UXデザインでユーザー視点での本質的なニーズを見出し、現状の課題を発見・分析・改善します。編集部からはUX設計や事業立ち上げ、マーケティングに関わる有益な情報を、識者の目線から提供いたします。

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