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プロトタイプテストを行う目的とは?実施の流れ・プロダクト改善につなげるポイントも解説
目次
プロトタイプテストとは、開発中のプロダクトの機能やデザインをプロトタイプに実装し、ユーザーに評価してもらう方法です。プロトタイプテストを行うことでユーザーの声やフィードバックを得られ、プロダクトの品質向上につながる改善点が見つかります。
ただし、プロトタイプテストをプロダクトの品質向上にいかすためには、プロトタイプテストの目的や流れを理解することが重要です。この記事では、そんなプロトタイプテストの目的や流れ、プロダクト改善にいかすためのポイントについて解説します。
プロトタイプテストとは
プロトタイプテストとは、プロトタイプを操作するユーザーの行動や発言を観察し、プロダクトの改善点などを洗い出すテストのこと。プロトタイプをユーザーに操作してもらい、機能性や操作性などをユーザー視点で検証します。
ユーザーは直感的に操作を行うため、開発時には気が付かなかったプロダクトの改善点を見つけられることがメリット。ユーザーのニーズや期待に応えるプロダクトを作るための有効な手法です。
以下の記事では、プロトタイプの基礎知識について解説しています。これからプロトタイプを作成する方はぜひ参考にしてみてください。
プロトタイプテストを実施する目的・メリット
プロトタイプテストを行う目的は、開発者視点では気づけなかった課題を発見し、よりユーザビリティが高いプロダクトへ改善することです。プロジェクトメンバーはプロダクトの機能や導線などを把握しているため、見つけられる改善点の数にはどうしても限界があります。よって、プロダクトに関する情報がないユーザーを対象者とし、開発者以外の視点からフィードバックをもらうことがプロトタイプテストの主目的です。
また、プロトタイプテストは、ユーザビリティ上の課題や潜在ニーズの発見に役立ちます。
プロダクトの企画・設計時に想定しているユーザーニーズはあくまで仮説。ターゲットとしているユーザーが同じ意見をもつとは限らず、ユーザビリティ上の課題については、実際のユーザーに操作してもらわなければ見つからないでしょう。よって、プロトタイプテストでターゲットと近いユーザーにプロダクトを操作してもらうことで、ユーザビリティ上の課題や潜在ニーズを見つけることができるのです。また、本番実装前に機能の取捨選択を行うための判断材料にもなります。
プロトタイプテストの流れ3ステップ
ここからは、プロトタイプテストの流れを3ステップで紹介します。
ステップ1:被験者を設定する
プロトタイプテストを行う際には、まず被験者を設定する必要があります。被験者のフィードバックによってプロダクトの改善内容を決めるため、被験者の選び方はプロトタイプテスト後のプロダクト開発に大きく影響します。被験者は、ターゲットとしているユーザー像になるべく近く、年齢や性別などの属性をバランスよく分散させたユーザーを5名ほど集めるのが理想的でしょう。
ステップ2:プロトタイプテストを実施する
被験者を設定したら、次はプロトタイプテストを実施します。実施する前に、必ず目的とタスクを設定しましょう。
まずは、「何を検証するためにプロトタイプテストを行うのか」という目的を設定します。「◯◯の機能をスムーズに使えるか」「予期せぬエラーが発生しないか」など、改善点を見つけたいプロダクトの要素を明らかにしておきましょう。
目的が定まったら、実際にプロトタイプをテストしてもらう被験者に与える“タスク”を設定します。たとえば、「チェックアウトページに遷移する」「◯◯の一覧ページから〜〜を見つける」など、目的を達成できるよう具体的な操作を決めましょう。目的にあわせてタスクを設定することで、プロダクトの改善につながる有効なフィードバックを受けられます。
目的とタスクを設定したら、プロトタイプテストを実施します。タスクを実行している様子を映像で記録し、タスクの完了後はアンケートやインタビューを実施して、感想や意見をヒアリングしましょう。映像ではユーザーの直感的な反応を確認でき、アンケートやインタビューは「◯◯の機能が〜〜の理由で使いづらいと感じた」といったより詳細な情報収集に役立ちます。
ステップ3:結果をまとめ、プロトタイプに反映する
プロトタイプテストの実施後は、得られた気づきや課題などをまとめ、プロトタイプに反映しましょう。テストの目的は、よりユーザビリティが高いプロダクトへ改善すること。得られた気づきを開発に反映してはじめて「意味があった」といえるのです。
ただし、プロトタイプテストで見つかった課題を一度にすべて改善しようとすると時間がかかり、二度目以降のプロトタイプテストを実施できなくなってしまいます。プロトタイプテストと改善を繰り返し、プロダクトの品質を段階的に向上させていきましょう。
以下の記事では、プロトタイプを活用した開発手法について詳しく解説しています。プロトタイプを活用した開発について知りたい方はぜひご覧ください。
プロトタイプテストをプロダクト改善にいかすポイント
ここでは、プロトタイプテストをプロダクト改善にいかすためのポイントを3つ紹介します。
「思考発話法」を取り入れる
「思考発話法」は、プロトタイプテストに活用できる手法の一つです。思考発話法とは、思っていることを独り言として声に出す方法のことで、ユーザーの行動とそのときどきの心理を同時に把握することができます。思考発話法を取り入れることで、ユーザー側は自身の思考プロセスを整理しやすくなり、開発者側はプロダクトで課題を抱えている部分を浮き彫りにすることが可能です。
被験者の行動を制限しすぎないようにする
プロトタイプテストにおいて、被験者の行動を制限しすぎないようにすることは重要です。「◯◯のボタンは触れないでください」などの行動制限を設けてしまうと、ユーザーが行うはずだった直感的な操作とギャップが生まれてしまいます。その結果、ユーザーが本来感じるであろう不満や困惑が見えづらくなり、改善点が見逃されてしまうかもしれません。
そのため、行動を制限しなくて済むように、テストで使用するプロトタイプは完成品の挙動に忠実であることが望ましいです。もちろん、開発段階では完璧なプロトタイプを作ることは難しいかもしれませんが、少なくともテストの目的に関わる機能や画面は正常に動作するようにしておきましょう。
誘導するような質問は避ける
プロトタイプテストでユーザーに質問をする際は、誘導するような質問を避けましょう。例えば、「このプロダクトを使いたいと思いますか?」といった質問は、意図せずユーザーに「はい」と答えさせてしまっているかもしれません。こういった相手の回答を誘導するような質問をしてしまうと、ユーザーの本音や感情がわからず、プロダクトの改善点も見つけられないでしょう。
テストを行う際は、はい・いいえで答えられないオープンクエスチョンを投げかけ、ユーザーの率直な意見を拾うことがおすすめです。「どう思いますか?」や「どう感じましたか?」という問い方をすることで、潜在的なニーズや操作の動機などが明らかになります。
プロトタイプテストを実施して、ユーザー視点の“新たな気づき”を得よう
ユーザー視点での課題が明らかになるプロトタイプテストは、プロダクト開発における重要なステップです。プロトタイプテストを行うことで、ユーザビリティ上の課題や潜在ニーズなどを発見でき、最終的なプロダクトの品質を高めることにもつながります。
プロトタイプテストを実施する際は、誘導的な質問や行動の制限をしないことを意識しましょう。そうすることで、ユーザーの本音や感情を引き出すことができます。また、ユーザーの行動と思考を把握できる「思考発話法」も効果的です。
UX Design Labでは、プロトタイプの作成から、プロトタイプを活用した開発まで行っております。さらに、開発したプロトタイプを用いたユーザビリティテストの実施、ペルソナ設計やカスタマージャーニーの策定含めた戦略立案から本番実装に至るまで、一気通貫したご支援が可能です。また、リリース後のコンテンツマーケティングや運用改善にも対応しており、事業の成功を継続的に支援します。プロトタイプの作成や活用に課題を感じている方はぜひ一度お問い合わせください。
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