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あなたは新規事業に向いている人ですか? 適正チェックリスト
目次
新規事業へのチャレンジは、荒波を乗り越える冒険のようなものです。その先には、未知の可能性が待っていますが、同時に多くのリスクも伴います。成功事例を見ると「自分もやってやるぞ」と思われるかもしれませんが、失敗事例を目の当たりにすると、一歩踏み出すのが怖くなることもあると思います。となると、「私は新規事業をするのに向いているのだろうか?」と悩み始めるかもしれません。
本記事は、新規事業に求められる特性やスキル、そして心構えについてまとめました。この記事をご覧いただき、改めて自分の強みや弱みを見つめ直し、新規事業への適性を自ら判断する手助けをすることを目指しています。
もちろん、すべての項目に当てはまらなくても心配はいりません。大切なのは、自分自身の現状を理解し、何ができて、何ができないかを知ることです。この記事を読み終えたとき、あなたが新規事業へのはじめの一歩を踏み出す準備ができるよう願っています。
新規事業に向いている人の特徴とは? チェックリスト
新規事業に向き合う人々の多くが持つ共通の特徴とは、どのようなものでしょうか。また、その特徴を持つことで、新規事業の過程で直面する多岐にわたる課題にどう対処し、進めていけるでしょうか。ここでは、新規事業に成功する5つのキーとなる特徴について詳しく解説します。これらを通じて、自分自身の強みや、さらに磨くべきポイントを発見していただければと思います。
特徴1. 特徴創造力と柔軟性を持っている
新規事業の場は、常に変化と未知の課題が発生しています。その渦中にいながらも、差別化された価値を提供するためには、創造力が欠かせません。同時に、市場や顧客のニーズに合わせて方針を変える柔軟性も求められます。
具体的なメソッドとして、「デザイン思考」のアプローチが挙げられます。これは、ユーザーニーズの中から課題を根本的に解決する手法で、プロトタイピングやフィードバックを繰り返しながら最適な解決策を見つけ出します。
特徴2. 学習意欲と成長意識が高い
新規事業において、最新の知識や技術を迅速に取り入れることは成功のカギとなります。そのため、常に学び続ける姿勢と自己成長を追求する意識が求められます。
具体的には、自分の専門分野だけでなく、他業種の情報も幅広く取り入れることで、新しい視点やアイディアを獲得し続けます。
特徴3. リスクを恐れずチャレンジできる
新規事業は、成功と失敗は背中合わせです。そのリスクを恐れず、果敢にチャレンジする姿勢が求められます。SWOT分析等のフレームワークを活用して、自社の強みや弱み、外部の機会や脅威を評価し、リスクを最小化しながら新しい挑戦を繰り返していくことが重要です。損失の回避や提言を図るリスクマネジメントの視点があるとなおよいです。
特徴4. コミュニケーション能力と協調性がある
新規事業の推進には、多くの関係者との協力が不可欠です。コミュニケーション能力と、チームでの協調性が求められます。新規事業を取り巻く人や組織、それらの関係性を図解する「ステークホルダーマッピング」を活用して、関係者のニーズや期待を明確にして情報を整理し、各方面のニーズに応じたコミュニケーションを図ることが大切です。
特徴5. 自己管理能力と責任感が強い
新規事業を成功させるためには、自らの時間やリソースを適切に管理する能力が求められます。また、どんな困難な状況下でも、責任を持ってプロジェクトを推進する強い責任感も欠かせません。
具体的には、タスク管理ツールや時間管理ツールを使って効率化を図りながら、業務を効率的に進めます。いつ誰が何をするか、その結果、各タスクの完了から逆算して進捗管理を行えるとなおよいです。締め切りと進捗管理が緩い新規事業は、いつまでもローンチできないまま、ずるずる引きずることが多いためです。
新規事業に向いていない人の特徴とは? チェックリスト
新たな市場の開拓、異なる業界のトレンド、革新的な技術の採用など、新規事業を開拓するには、これまでと違った思考と行動が必要になります。成功につなげるには、参加メンバーが持つ特徴やスキル、心構えがカギになると言っても過言ではありません。
この記事では、新規事業での成功が難しくなるであろう5つの特徴を取り上げ、それぞれについて詳しく掘り下げます。もちろん、これらの特徴を持つからといって、すぐに新規事業から手を引く必要はありません。これらを意識し、改善や補完することで、事業への適性を向上させる手助けとなることでしょう。
特徴1. 変化に対する抵抗感が強い
新規事業は動的な環境で、状況に合わせて柔軟な変化が求められます。変化に抵抗感を持つ人は、対応が難しくなる可能性があります。固定的なマインドセットでは、新しい市場や技術の動向を迅速にキャッチアップするのが難しいためです。
変化を好まないメンバーをチームの一員として迎え入れる場合は、「成長マインドセット」の導入を推奨します。「人間の能力は努力により成長する」という考え方で、この機会を成長の機会として捉えられれば、次第に自分自身の役割を果たしていけるでしょう。残念ながらそれが難しい場合は、少し考えたほうがいいかもしれません。
特徴2. 短期的な目標ばかり気にする
新規事業には長期的な視野が必要です。短期的な利益や成功に固執すると、中長期的な戦略の構築やビジョンの共有が難しくなります。短期的視野でしか物事を見ないメンバーがいるときはとくに注意が必要です。
実現可能で効果的な目標設定のフレームワーク「SMARTの法則」(Specific・Measurable・Assignable・Realistic・Time-related)を利用して、短期的なアクションと長期的なビジョンをバランスよく設定します。メンバーがプロジェクトを通じて成長を感じられる指標もあると、個々のモチベーションが保ちやすいです。
特徴3. リスクをとるのが苦手
新規事業はリスクとの戦いと言ってもいいでしょう。ここで必要なのは、リスクをどこまで許容し、実現可能な道筋を立てられるかです。そういった考えを理解できないメンバーがいると、チームの士気を削ぐ存在になってしまうこともあります。
リスクの発生確率と深刻度を評価するリスク分析ツール「リスクマトリックス」などを使用し、リスクを適切に評価・管理し、いたずらにリスクに怯えなくていいことをチーム間で共有できる環境を作れるとよいでしょう。
特徴4. 一人で仕事するのが好き
新規事業はチームワークがカギとなります。変化が多い環境で独りよがりの姿勢でいるメンバーがいると、他のメンバーやステークホルダーとの連携に問題を生じさせる可能性も出てきます。新規事業のビジョンやミッションの共有をはじめとしたチームビルディングの活動を取り入れ、チームとしての協力関係を構築します。
特筆すべきスキルがあるメンバーだとしても、チームの活動や雰囲気を壊す場合、全体の士気が下がります。無理に社内メンバーにこだわらず、ビジョンやミッションを共有できる外部パートナーを見つけることも考えてみてください。
特徴5. 他責思考である
他責思考とは、自らの過ちや失敗を他者や環境のせいにしてしまう思考パターンを指します。新規事業を進める上で、障害や予期せぬ問題に直面することは避けられません。その際、問題の原因を的確に分析し、早急に解決策を見つけることが求められるのですが、他責思考の人は自らの責任や改善点を見過ごしたり、他人に責任を転嫁する傾向があります。結果として、チームの協力や一体感が損なわれるリスクが高まります。
新規事業の成功には、自らの行動や判断に責任を持ち、障害や失敗を乗り越える力が不可欠です。他責思考を持つ人がメンバーにいる場合は、本人の事業に対する内的動機を高めたり、何か選択する際、本人に選んでもらい、自分で選んだ実感と責任をもってもらえるよう対応してみてください。
新規事業に向いているかどうかを自己診断する方法
新規事業は、不確実性が多い道のりです。そのため、自らが新規事業に向いているかどうか、自分自身の特性やスキル、強みを正しく知ることは非常に重要です。
あなたの適性を客観的に見つけ出すための具体的な自己診断方法を3つご紹介します。定量的な評価の基盤となる「チェックリスト」を利用したアプローチから始め、その後、リアルな経験を通じて自身の適性を確かめる「小さく始める」方法へと進めます。最後に、多くのプロフェッショナルが信頼を置く、自身の「強み」を明確にする「ストレングスファインダー」というツールを活用したアプローチを紹介します。
これらの方法を組み合わせることで、あなた自身の新規事業への適性や強み、そして改善したい点を明確にし、より成功に繋がる道筋を描けるよう願っています。
方法1. チェックリストで自分のスキルや性格を評価する
自己認識は、新規事業の成功の鍵となる要素の一つです。自分の強みや弱み、持っているスキルや性格を知ることで、事業展開の方向性や必要なリソース、サポートを的確に判断できるようになります。
- 自己評価チェックリストを作る
前述した「新規事業に向いている人の特徴」および「新規事業に向いていない人の特徴」のチェックリストを元にリストを作ります。 - 評価基準を設定する
各項目に対して、5段階評価(例:1 = 全く当てはまらない、5 = 非常に当てはまる)などの基準を設定します。 - アクションプランを考える
チェックリストを基に自己評価を行い、スコアをつけます。得点が低かった項目に対して、どう改善できるか、次につなげるアクションプランを考えます。
この方法を通じて、自身の強みや弱みを具体的に知ることができ、新規事業へのアプローチを調整する方向性を得られます。
方法2. 小さく始めてみる
理論や自己評価だけでは、新規事業の適性は測れません。実際に手を動かし、小さなプロジェクトを始めることで、実戦での適性や必要なスキルを体感できます。
- 事業アイデアを出す
自分が興味を持つ分野や解決したいことをベースに、小規模な事業アイデアを考えます。 - 最小限のリソースで実行する
MVP(Minimum Viable Product)という考え方を取り入れ、最小リソースでアイデアを形にします。大きなリスクを取らずに事業の可能性を探ることが目的です。 - フィードバックを集める
ターゲットとなる顧客や知人からフィードバックを受け取り、事業アイデアの改善や方向性を考える材料にします。
この方法を通じて、実際のビジネスの現場での自身の適性や課題を発見することができますし、新規事業のハードルや楽しさ、達成感も実感できるでしょう。
方法3. ストレングスファインダーで自分の資質に合う役割を探す
ストレングスファインダー(クリフトンストレングス)とは、個人の持っている資質や強みを明らかにし、最大限に活用するためのツールです。個人で自己成長のために使う方もいますが、メンバーの適性や役割について共通認識をつくれるため、チームビルディングのツールとして使う企業も増えています。
- テストの受験
ストレングスファインダーの公式サイトや関連書籍を通じて、テストを受験します。このテストは一連の質問に答えることで、あなたが持つ上位の強みや資質を知ることができます。 - 結果を読み込む
テスト結果をもとに、持っている強みの傾向を深く理解します。強みには独自の特徴や適切な活用方法が示されているので、それを参考に、どんな強みを使って自身が事業に取り組みたいか考えてみます。 - 強みを活かした役割を考える
強みは34種類あり、誰一人同じ組み合わせを持つ方はおらず、優劣の差もありません。たとえば、「リーダーシップ」資質が上位にある場合、チームを率いることに長けている可能性がありますし、「分析的思考」が上位にある場合は、データを見て、状況を判断することに人より興味関心が高く、業務として行っていなくても自然と日常で行っているケースもあります。
ストレングスファインダーを使うと、どのような役割が自分に合っているのか、また、どのような業務を中心に進めていくと自然と強みを発揮できるかのヒントを得られます。自分自身の資質を知り、新規事業を推進するツールとしてぜひ試してみてください。
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新規事業立ち上げが不安なら…
新規事業の立ち上げは、答えが存在しない不確実な状況の中で、挑戦する方の能力や意志、適性が試される場とも言えます。この記事を通じて、新規事業に適した人の特徴や向いていない人の特徴、さらに自己診断の方法について触れてきましたが、最終的には、それぞれの読者が自らの特性や状況を正確に理解し、適切な決断を下すことになります。
向いている人・向いていない人の「特徴」や「自己診断の方法」を通じて、自分が新規事業に向いているかどうかのヒントを得ることができたら幸いです。もし、自分が新規事業に向いていると感じたなら、その不安をエネルギーに変えて、果敢に挑戦することをおすすめします。逆に、自分の適性や状況を考慮して、今は新規事業の立ち上げを避けるほうがいいと感じたら、その判断もまた、成功への第一歩となるかもしれません。
新規事業の立ち上げについて不安がある場合は、プロフェッショナルに相談する方法もあります。UX Design Labは、ユーザー視点・マーケティング視点の両面から新規事業の立ち上げや戦略設計をサポートするUXコンサルティングサービスです。クライアントの課題を発見、分析、解決へと導きます。貴社チームとのチームビルディングにも長けたメンバーがアサインされますので、ぜひ気軽にご相談ください。
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