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成功する新規事業立ち上げメンバーの選び方とは。具体的な手順とポイントを解説
目次
新規事業立ち上げの初期段階で最も重要な要素の一つが、プロジェクトのメンバー選びです。新規事業の立ち上げを成功させるためには、アイディアや戦略はもちろんのこと、それを実行するメンバーのスキルと性質もできるだけ考慮したいところです。適切なメンバーがそろうことで、ビジョンの共有、効率的なタスクの進行をより柔軟に進めていくことができます。
一方、適切でないメンバー選びは、コミュニケーションの障壁や方向性の乱れやリスクを招き、事業の成功を阻害してしまうことも。メンバー選びは新規事業の成果に直結し、慎重な計画と実行が求められる重要なプロセスです。この記事では、新規事業立ち上げに最適なメンバーの選び方、必要なスキルや性格特性、チーム構成のヒントを解説します。
新規事業立ち上げメンバーの基本的なスキルセット
新規事業の立ち上げは、プロジェクトメンバーのスキルセットに大きく依存します。重要なのは、創造性と革新性、問題解決能力、リーダーシップといった基本的なスキルセットで、これらの組み合わせが事業の成長のために欠かせません。
スキル1. 創造性・革新性
市場に新しい価値を提供するには、従来の枠組みから脱却した独自のアイデアが求められます。創造性は、新しい視点から問題を見る能力、異なる分野を結びつける思考、未知の解決策を提案する勇気などから構成されます。
新規事業の場合はとくに、「デザイン思考」をもつメンバーがいると議論が進みやすい傾向にあります。デザイン思考とは、デザイナーやクリエイターがプロダクトのデザイン(設計)を行う際の思考のプロセスで、ビジネスの課題を解決する、創造的問題解決の手法です。
スキル2. 問題解決能力
問題解決能力は、新規事業立ち上げにおいて頻繁に直面する予測不可能な課題に対処するために必要な能力で、分析的思考、論理的推理、適切なリソースの活用などを行います。
たとえば「5W1H思考」を自然と行うメンバーがいると、何か問題が起こった際の柔軟な対応が行いやすいですよね。5W1H思考とは、
・When(いつ)
・Where(どこで)
・Who(誰が)
・What(何を)
・Why(なぜ)
・How(どのように)
の6つの視点で課題を分析し、原因を明らかにします。こうして問題の本質や要因を洗い出し、適切な改善策を導き出すことができます。
スキル3. リーダーシップ
リーダーシップは、チームを一つの方向に導き、プロジェクトチームの最高のパフォーマンスを引き出すために欠かせません。強いリーダーシップは、ビジョンの共有・効果的なコミュニケーション・適切なフィードバック・メンバーの成長を促す支援などから成り立ちます。
柔軟な対応と対話、密度の高いメンバー間のコミュニケーションを促し、発揮できるリーダーがいることは、新規事業を成功させるための必須条件です。
新規事業立ち上げメンバーが持つべき性格や特性
新規事業立ち上げメンバーが持つべき性格や特性は、事業の成功において欠かせない要素です。次のような特性をもつメンバーが選べるとなおよいでしょう。
- 柔軟性
新しい市場や未知の課題に対応するため、変化に素早く対応できる柔軟な思考が求められます。 - 協調性
チーム内での効果的なコミュニケーションと連携を図る協調性が必要です。異なる専門分野のメンバーとの協力が重要になるため、互いの意見を尊重し、協力し合って問題を解決できる姿勢が大切です。 - リスク対応能力
新規事業はリスクとの戦いであり、失敗を恐れずに挑戦する勇気と、リスクを適切に評価・管理する能力が欠かせません。 - 情熱
新規事業の推進には、ビジョンに対する情熱と献身が求められます。みずから主体的に動き、目標に対する強い意欲がチーム全体のモチベーションを引き上げます。 - 我慢強さ
新規事業立ち上げは時間と努力を要し、成功を約束されたものでもありません。そのため、長期間にわたって集中し、困難を乗り越える我慢強さも必要です。
新規事業立ち上げメンバーの役割分担
メンバーの役割分担は、プロジェクトの成功に向けた重要な要素のひとつです。効果的な役割分担をするために考えたい点をまとめました。
- リーダーの選定
チームのビジョンと方向性を明確にし、メンバーを統合するリーダーの選定が求められます。リーダーシップとコミュニケーションスキルが決め手です。傾聴が上手なリーダーがいるとうまくまとまりやすいです。 - 専門分野の配置
チームメンバーの専門分野とスキルを適切に配分し、プロジェクトの多岐にわたるニーズに対応します。たとえば、クリエイティブ、マーケティング、開発、営業など、事業展開に必要な各分野のエキスパートがいると安心です。 - 協力と連携
役割分担を明確にするだけでなく、チーム内での協力と連携も重要です。異なる役割のメンバー間での情報共有と助け合いがプロジェクトの進捗を円滑にします。部署をまたいでメンバーを構成する場合は、部署間の協力体制が必要になるため、事前に各方面にしっかり話を通しておくことも重要です。 - フレキシビリティの確保
新規事業立ち上げは予測不可能な課題が発生することが多々あります。計画通りに進まないことや突然の問題が起きたときは、すぐに計画を変更して対応できるよう役割分担にある程度の柔軟さを持たせることも、事前に考慮しておきたい点です。予想外のことにも対応できるチームが、強いチームだからです。 - 進捗の評価と調整
新規事業の立ち上げが計画通りに進んでいるか確認します。定期的にチェックし(評価)、必要に応じて計画を少し変える(調整)ことで、プロジェクトがプラン通りに進み、目指すゴールにたどり着けるよう調整します。
これらの役割分担がうまくできると、プロジェクトを効率的かつ効果的に進めやすくなります。各メンバーが明確な役割と責任を持ち、それぞれの専門性を最大限に活かせるよう采配しましょう。
新規事業立ち上げメンバーを選ぶ5つのステップ
新規事業を立ち上げる際、その成功の鍵を握るのはどんなアイディアを持っているかだけでなく、そのアイディアを実現するための適切なチームの存在です。チームメンバーの選び方は、新規事業の成功を大きく左右する要因の一つとも言えます。
優れたスキルをもつメンバーを集めればいいわけではなく、共通のビジョンや目標、それぞれの役割やスキル、そしてチーム全体の協力体制など、多くの要素が絡み合います。ここでは、目的に合う最強のチームを作るためのヒントや手法を5つのステップで解説します。
ステップ1. ビジョンと目標の設定
新規事業立ち上げの第一歩は、ビジョンと目標の明確化です。これはプロジェクトの方向性を決める根幹となる部分です。明確にするための具体的なメソッドとして「SMART原則(具体的・測定可能・達成可能・関連性のある・時間制限のある目標設定)」で考えると効果的です。チーム全体の目標と個々のメンバーの役割に対する目標を設定し、共通の理解を作ります。
ステップ2. スキルと役割の設定
次に、プロジェクトを成功させるために必要なスキルと役割の設定を行います。専門分野の知識はもちろん、創造性や問題解決能力などのソフトスキルも併せて考えます。各役割に必要なスキルセットを明確にして必要な人材像を描くことで、メンバーの候補者選びがスムーズになります。
ステップ3. 候補者探しと評価
スキルと役割が明確になったら、候補者探しと評価のフェーズに入ります。人材探しには、社内から適任者を見つけるか、外部の人材を探すか、人脈を通じた紹介などで行います。選定プロセスでは、面接やスキルテスト、ケーススタディなどを用いて対話を行い、候補者が求めている役割に合うかどうか判断します。
ステップ4. チームダイナミクスの確認
チームダイナミクスとは、チームの中で誰がどんな役割を果たし、どうやって一緒に働くかという、チームの「動き」や「エネルギー」のことを指します。この動きがうまく合っていると、チームは強く、目標に向かって進むことができます。
メンバー選定の段階で行うのは難易度が高いかもしれませんが、各メンバーがお互いをよりよく理解し、効果的に協力できるようにするため、軽いディスカッションなどを行い、価値観や目標について話し合う機会をもてるとよいでしょう。
ステップ5. 継続的な評価とフィードバック
最後のステップは、継続的な評価とフィードバックのプロセスです。定期的にメンバーの進捗とパフォーマンスを評価し、必要に応じてフィードバックを行います。リーダーが各メンバーと1on1を通じて対話を重ねたり、プロジェクトメンバーがお互いを評価する「360度フィードバック」などの方法なども用いてみてください。チームの成長と個々の成長の助けになります。
新規事業立ち上げメンバー選びのよくある間違い&対処法
新規事業の立ち上げと成功は、チームメンバーの選び方にかかっていると言っても過言ではありません。しかしながら、正しい人材の配置は容易ではなく、チームとしての協調性や企業文化への適合性、多様性の重視など、より深い視点での選考が求められます。ここでは、新規事業立ち上げメンバーを選ぶ際のよくある間違いと、それらをどうやって避け、改善できるかのポイントを解説します。
ポイント1. スキルだけを重視する
メンバーの専門的な技術や知識は重要度が高いものですが、スキルだけを重視すると、問題を引き起こす可能性が高いとも言えます。
- 間違い
専門的な能力だけを基準にして、メンバーを選ぶと、チーム内でのコミュニケーションや協調性が欠ける可能性があります。 - 対処法
メンバーの性格や価値観も考慮に入れる必要があります。選考過程での面接やコミュニケーションでは、専門的な質問のほかに、チームでの協力やコミュニケーションに関する質問も行ってみてください。
ポイント2. カルチャーフィットを軽視する
企業文化との適合性、いわゆるカルチャーフィットも新規事業メンバー選びにおいて重要な点です。
- 間違い
カルチャーフィットを無視すると、チーム内の緊張や摩擦が生じ、効率的な作業や円滑なコミュニケーションが難しくなることがあります。 - 対処法
企業文化に合う人物を探すため、企業やこのプロジェクトにおける価値観や使命、ビジョンを明確にし、それに合う候補者を選ぶよう努めましょう。
ポイント3. 同じような人ばかり集めてしまう
多様性があるチームは、多岐にわたる視点と思いもよらない解決策を生み出す力があります。
- 間違い
同じ背景やスキルセットを持つ人ばかりを集めると、思考の偏りが生じたり、同調する空気を生み、革新的なアイディアが生まれにくくなることがあります。 - 対処法
多様な背景や経験を持つメンバーを選ぶことで、チームの視野を広げ、新しい解決策やアイデアを生み出す機会を増やします。メンバーを選ぶ際、個人個人の異なる視点やスキルがチームにどう貢献できるかを事前に考慮し、同じ傾向をもつメンバーが集まらないようにするのも一つの手段です。
新規事業立ち上げメンバー選びを成功させる最終チェックリスト
新規事業の成功は、メンバー選びに大きく依存します。最適な人材を選ぶことは単なるスキルの集合ではなく、ビジョンの共有、カルチャーフィット、多様性の尊重、そして継続的な成長と評価のプロセスを必要とします。
この課題を効果的に解決する道標が、下記にまとめたメンバー選びの最終チェックリストです。プロジェクトの方向性を明確にし、リーダーや経営者がチームの組み立てから運用まで、全体の流れを理解しやすくする役割を果たします。
【新規事業立ち上げメンバー選びを成功させるための最終チェックリスト】
- ビジョンと目標の明確化
事業の方向性を明確にし、それに合致する人材を選ぶ基準を設定します。 - スキルと役割の設定
個々のメンバーが何を担当し、どんなスキルを持っているべきかを整理します。 - カルチャーフィットの確認
企業文化やチームの価値観に合う人材を選ぶ重要性を理解し、そのための評価方法を導入します。 - 多様性の尊重
同じような人を選ばず、多様な視点と経験を持つメンバーを集めます。 - 継続的な評価とフィードバックを行う
プロジェクト進行中のメンバーの進捗と成長を定期的に確認し、必要に応じてフィードバックを行い、何かあれば早めに都度調整します。
このチェックリストを使用することで、新規事業の立ち上げを助け、プロジェクトの成功に繋げることができます。最適な人材の選定は単なる一時的なタスクではなく、事業成長の根幹となるプロセスです。注意深く、戦略的に進めることが求められます。
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