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新規事業成功へ導くフレームワーク18選|アイデア出しから事業計画まで一挙紹介
目次
新規事業を立ち上げる際には、アイデアの発想や事業計画の策定など、さまざまな課題に直面します。そんなときに役立つのがフレームワークです。フレームワークとは、一定のルールや手順に沿って問題を解決するための枠組みのことで、新規事業開発においても、アイデア出しや競合調査、ビジネスモデルの構築などに応用できます。
この記事では、新規事業開発に活用できるフレームワークの種類や活用方法をご紹介します。フレームワークを活用する際の注意点も紹介しているため、参考にしてみてください。
新規事業開発にフレームワークを活用するメリットとは
新規事業開発にフレームワークを活用するメリットとして、抽象的だったアイデアや思考が明確になることが挙げられます。
フレームワークに沿って分析や検証を行うことで、自社の強みや弱み、市場のニーズやトレンド、競合の戦略や差別化要因などを把握できます。これにより、新規事業アイデアの提供価値やターゲット、コストなどを明確に定義できるのです。
また、フレームワークは書き出す項目が決まってます。そのため、検討すべき内容の抜け漏れを防ぐだけでなく、既存の常識や思い込みにとらわれず、新しい視点やアプローチで事業内容を検討できるのです。
【18選】新規事業開発に役立つフレームワークの特徴と活用方法
それでは、新規事業開発に役立つフレームワークを、新規事業立ち上げ5ステップに沿ってご紹介していきます。
- アイデア出し・整理
- 自社・競合調査
- 顧客調査
- 事業戦略の立案
- 事業内容の改善
アイデア出し・整理
マンダラート
マンダラートとは、3×3の9マスを置き、真ん中にテーマ、そのテーマに関連するアイデアを周りの8マスに書いていくフレームワークです。たとえば、真ん中に「ペット」というテーマを置いた場合、その周りには「犬」「猫」「グッズ」「フード」などのアイデアを書きます。
また、関連するアイデアを真ん中に置き、それに関連するアイデアをさらに周りの8マスに書いていくことで、最初に置いたテーマを深掘りしたり発散させたりすることができます。
スキャンパー法
スキャンパー法とは、以下7つの質問を通してアイデアを発散していくフレームワークです。スキャンパーという言葉は7つの要素の頭文字を取ったもので、質問に答えていくことでアイデアを広げていきます。
Substitute(置き換える) | 他のアイデアに置き換えられるか? |
Combine(組み合わせる) | 他のアイデアと組み合わせられるか? |
Adapt(適応させる) | 他の環境や状況に適応できるか? |
Modify(変形させる) | アイデアの修正や一部変更によって新しい価値を生み出せるか? |
Put to another use(別の用途に使う) | 他の用途で応用できるか? |
Eliminate(削除する) | 不要な部分の削除によって新しい価値を生み出せるか? |
Reverse(逆転させる) | プロセスの逆転や並び替えによって新しい価値を生み出せるか? |
6W2H
6W2Hとは、以下8つの項目をもとに、抽象的なアイデアを整理し、具体化していくフレームワークです。
- Who(誰が)
- Whom(誰に)
- What(何を)
- Why(なぜ)
- When(いつ)
- Where(どこで)
- How(どのように)
- How much(どれくらい)
6W2Hを使って新規事業のアイデア出しをする場合は、以下の手順で進めると良いでしょう。
- まずは、自社で解決したいユーザーの問題やニーズを明確にします。Who(誰が)とWhom(誰に)でターゲットを考えましょう。
- 次に、自社が提供できる価値を検討します。What(何を)でどんな価値を、How(どのように)でどのような形でユーザーへ届けるのかを、Why(なぜ)で自社が行う必要性を考えることで、ビジネスモデルや競合優位性が見えてきます。
- 最後に、価値を提供するタイミングや場所、価格を考えます。When(いつ)、Where(どこで)、How much(どれくらい)を考えることで、価値提供の方法や収益性が見えてきます。
ロジックツリー
ロジックツリーとは、ひとつの問題に対して、原因や課題、解決策を分解し、構造化していくフレームワークです。ユーザーが抱えている悩みを起点に、その悩みの原因や仮説、解決策などをMECEで洗い出し整理することで、ユーザーニーズをより客観的に分析できます。
自社・競合調査
PEST分析
PEST分析とは、以下4つの要素の頭文字を取ったもので、新規事業の外部環境を分析するフレームワークです。4つの要素を軸に、新規事業の強み・弱み・機会・脅威を把握し、市場性や競争力を評価したり、戦略や目標を設計したりできます。
Politics(政治) | 法規制・規制緩和、国家政策、政府・外交関係の動向など |
Economy(経済) | 景気、経済成長、為替、金利など |
Society(社会) | 人口動態、世論、教育、犯罪、健康など |
Technology(技術) | 技術革新、IT活用、インフラなど |
PEST分析を行う際には、PESTの各要素に関連する情報やデータを収集し、新規事業に対するメリット・デメリットへ分類するところから始めましょう。
ファイブフォース分析
ファイブフォース分析とは、新規事業の競合他社や業界全体の環境を分析するフレームワークです。以下5つの項目をもとに新規事業への影響度や対策を検討し、新規事業の市場における競合優位性や収益性を見極めます。
- 競合他社の脅威
- 新規参入の脅威
- 代替品の脅威
- 買い手の交渉力
- 売り手の交渉力
ファイブフォース分析を行う際には、以下の手順で進めると良いでしょう。
- まずは、5つの項目それぞれが新規事業にどのような影響を与えるかを分析します。たとえば、競合他社の脅威が高いほど新規事業にとって不利であり、買い手の交渉力が低いほど新規事業にとって有利です。
- そして、5つの項目それぞれの影響度合いの強さに応じて、新規事業の戦略やポジショニングを決めます。たとえば、競合他社の脅威が高い場合は、差別化やコストリーダーシップなどの戦略を、買い手の交渉力が低い場合は、価格設定やブランディングなどのマーケティング戦略を検討します。
STP分析
STP分析とは、市場を以下3つの要素に分けて、市場構造を把握するフレームワークです。セグメンテーションやポジショニングによって、新規事業の市場機会や競争優位性を見極めることができます。また、ターゲットに合わせたマーケティング戦略やコミュニケーション計画を立案する際にも役立ちます。
Segmentation(セグメンテーション) | 市場を細分化し、ユーザーの属性やニーズを把握します。 |
Targeting(ターゲティング) | 細分化した市場のなかから、どんな市場・ターゲットを狙うかを検討します。 |
Positioning(ポジショニング) | ターゲットに対して自社の製品やサービスの提供価値を明確にし、競合との差別化を図ります。 |
VRIO分析
VRIO分析とは、以下4つの要素の頭文字を取ったもので、自社の経営資源がどのような競合優位性を持っているかを評価するフレームワークです。新規事業計画や戦略立案に役立つだけでなく、競争優位性を高めるために必要な改善点や戦略も見えてきます。
Value(価値) | 自社の経営資源が売上や社会にとって価値があるか? |
Rareness(希少性) | 自社の経営資源が競合他社と比べて希少か? |
Imitability(模倣可能性) | 自社の経営資源が競合他社に容易に模倣されるか? |
Organization(組織) | 経営資源を有効に活用できる組織体制が整っているか? |
SWOT分析
SWOT分析とは、以下4つの要素の頭文字を取ったもので、新規事業の現状や将来性を分析するフレームワークです。新規事業の強みや弱みを客観的に把握し、市場の機会や脅威に対応する戦略を立てられます。
Strength(強み) | 新規事業がもつ競争力の高い要素や優位性を考えます。 たとえば、技術力、ブランド力、人材力、販売力などです。 |
Weakness(弱み) | 新規事業がもつ競争力の低い要素や劣位性を考えます。 たとえば、高いコスト、品質低下、顧客満足度低下などです。 |
Opportunity(機会) | 外部環境や市場に存在する、新規事業にとって有利な要素や可能性を考えます。 たとえば、需要増加、市場拡大、法制度変更、技術革新などです。 |
Threat(脅威) | 外部環境や市場に存在する、新規事業にとって不利な要素やリスクを考えます。 たとえば、競合の台頭、需要減少、市場縮小などです。 |
4P分析
4P分析とは、以下4つの要素の頭文字を取ったもので、企業視点でプロダクトの提供価値や宣伝方法などを評価するフレームワークです。
Product(製品) | 製品やサービスの特徴や付加価値、差別化要因などを明確にします。 また、ユーザーが製品やサービスを購入する動機やメリット、解決したい課題なども考えます。 |
Price(価格) | 製品やサービスの価格や料金体系などを明確にします。 また、ユーザーが価格に対して感じる満足度や価値感、競合他社との比較なども考えます。 |
Place(流通) | 製品やサービスを販売するチャネルや場所、物流、在庫管理などを明確にします。 また、ユーザーが製品やサービスを利用する方法や頻度、利便性なども考えます。 |
Promotion(販促) | 製品やサービスを宣伝する手段や方法、メッセージなどを明確にします。 また、ユーザーが製品やサービスに興味をもつきっかけや認知度なども考えます。 |
4C分析
4C分析とは、以下4つの要素の頭文字を取ったもので、顧客視点でプロダクトの提供価値や宣伝方法などを評価するフレームワークです。
Customer Value(顧客価値) | 製品やサービスのターゲットとなる顧客層を定義し、そのニーズや課題などを分析します。 また、顧客満足度やロイヤルティ、ブランドイメージなども調査します。 |
Cost(コスト) | 製品やサービスの提供価格や原価、利益率などを算出します。 また、顧客が支払うコストだけでなく、時間や労力などのコストも調査します。 |
Convenience(利便性) | 製品やサービスの販売・配送チャネルを調査し、その効率を評価します。 また、チャネル間の連携も考慮します。 |
Communication(コミュニケーション) | 製品やサービスのプロモーションや、広告に用いるメディアとメッセージ内容を検討します。 |
バリューチェーン分析
バリューチェーン分析とは、事業活動を「主活動=ユーザーへ価値を直接届ける活動」と「支援活動=主活動を支える活動」に分類し、各活動がどのようにバリュー(付加価値)やコストを出しているかを分析するフレームワークです。活動を切り分けて考えることで、競合優位性を細かく分析したり、各活動の貢献度やコストなどを評価したりできます。
顧客調査
ペルソナ分析
ペルソナ分析とは、新規事業のターゲットとなるユーザーの属性やニーズ、行動パターンなどを具体的に定義するフレームワークです。ユーザーの悩みや課題をより深く理解し、ユーザーニーズに合ったプロダクトを開発できます。また、ペルソナ分析では、SNSの活用方法や休日の過ごし方などの定性情報も分析するため、プロモーションにも活用できます。
ペルソナ分析を行う際に作成するペルソナ設定シートについて、以下の記事で詳しく解説しています。
カスタマージャーニーマップ
カスタマージャーニーマップとは、ユーザーニーズを解決するために、1つの製品やサービスに対するユーザーの認知、情報収集、検討、購入、購入後までのプロセスを時系列で可視化したフレームワークです。見込み顧客から顧客になるまでの行動や思考の変化を把握できるため、カスタマージャーニーマップを作成することでユーザーニーズに沿った事業を展開できるようになります。
カスタマージャーニーマップを作成する際の参考となる事例について、以下の記事で詳しく解説しています。
事業戦略の立案
ポジショニングマップ
ポジショニングマップとは、新規事業の市場におけるプロダクトの位置づけを可視化するフレームワークです。市場における重要な要素やユーザーがプロダクトを購入する際に重要視する要素を、縦軸と横軸に設定し、自社や競合他社がどこに位置しているのかを把握します。これにより、自社は今後どのポジションを目指すべきかを検討できるのです。
ビジネスモデルキャンバス
ビジネスモデルキャンバスとは、ビジネスモデルを9つの要素に分類して可視化するフレームワークです。各要素の関係性や整合性を確認することで新規事業のアイデアを具体化でき、事業計画の方向性を決められます。また、アイデアの仮説を検証するために必要な情報や指標も明らかになります。
顧客セグメント | 誰に価値を提供するか? |
提供価値 | どのような価値を提供するか? |
チャネル | どのような経路で価値を提供するか? |
顧客との関係 | 顧客とどのような関係を築くか? |
収益の流れ | どのような仕組みで収益を上げるか? |
リソース | どのような資源がどれぐらい必要か? |
主な活動 | 事業を進めていく上で必要な活動内容は何か? |
パートナー | どのようなパートナーと協業するか? |
コスト構造 | どのようなコストが発生するか? |
事業内容の改善
KPT
KPTとは、以下3つの要素の頭文字を取ったもので、新規事業での活動や結果に対して客観的に振り返り、改善策を考えるフレームワークです。新規事業開発のチーム内で定期的に行い、KPTの結果を可視化して共有することで、チームの課題や改善の進捗を把握しやすくなります。
Keep(継続すべきこと) | 継続すべきことを挙げます。 たとえば、ユーザーからの良い声が多かった施策や、予想以上の成果が出た施策などです。 |
Problem(改善すべきこと) | 改善すべきことを挙げます。 たとえば、仮説と実際の結果にギャップがあった施策や、問題点が明らかになった施策などです。 |
Try(次に試すこと) | 次に試すことを挙げます。 たとえば、新しい仮説を立てて検証する施策や、問題点を解決するための施策などです。 |
PDCA
PDCAとは、以下4つの要素の頭文字を取ったもので、仮説を立てて検証し、評価を得て改善するというサイクルを回すことで、新規事業の内容を効率的にブラッシュアップするフレームワークです。新規事業での成果や問題点を把握し改善策を立案していくことで、事業の成長と改善を促進します。
Plan(計画) | 新規事業の目標を設定したり、課題の仮説や検証方法を設計したりして、実行計画を立てます。 |
Do(実行) | 計画に基づいてテストを行います。 |
Check(評価) | テストの結果を分析し、目標が間違っていないか、仮説が正しいかを評価します。 |
Action(改善) | 結果と評価内容に基づいて、新規事業内容の改善を行います。また、次のサイクルに向けて新たな目標や課題を考えます。 |
フレームワークを活用する際の注意点
いくつかのフレームワークをご紹介しましたが、より効果的にフレームワークを活用し、事業の成果を上げていくためにはいくつかの注意点があります。
自社の目的や状況に応じてフレームワークを組み合わせる
フレームワークは、新規事業のアイデア出しから事業内容の改善まで、事業立ち上げのプロセスを効率的に進めるためのツールです。しかし、フレームワークにはそれぞれ特徴や適用範囲があります。そのため、自社の目的や状況に応じて適切なフレームワークを選び、組み合わせながら活用することが重要です。
しかし、フレームワークに頼りすぎると、創造性や柔軟性が失われる可能性もあります。フレームワークはあくまで参考として使い、自社にあわせてカスタマイズしていくと良いでしょう。
客観的視点で分析する
新規事業のアイデアは、自身やチームメンバーの主観や思い入れに影響されがちです。自分たちが良いと思っているアイデアが、市場やユーザーにとっても価値があるとは限りません。また、フレームワークを使っても、分析の質は収集したデータや情報に依存します。そのため、フレームワークを活用する際には、客観的視点で分析することが重要です。
客観的視点で分析するためには、以下のような方法があります。
- データや情報の信頼性や正確性を確認する
- 業界・市場のトレンドや競合他社の動向を調査する
- ユーザーニーズをヒアリングやアンケートなどで把握する
- アイデアの仮説を検証するためにプロトタイプテストを行う
フレームワークの活用で新規事業の成功に近づこう
この記事では、新規事業成功へ導くフレームワークを18つご紹介しました。新規事業開発にフレームワークを活用することは、多くのメリットがあります。しかし、フレームワークはあくまでも道具であり、その使い方や適用範囲には注意が必要です。自社に合ったものを選択し、柔軟にカスタマイズしたり組み合わせたりしましょう。また、常に変化する市場環境やユーザーニーズに対応できるように、定期的にフレームワークを見直したり更新したりすると良いでしょう。
UX Design Labでは、ペルソナ設計やカスタマージャーニーマップの作成をはじめとした、新規事業の立ち上げに必要なご支援を行っています。また、リリース後のコンテンツマーケティングや運用改善にも対応しており、事業の成功を継続的に支援します。新規事業の立ち上げでお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度お問い合わせください。
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