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ペルソナ設定シートの作り方|toBとtoCの両方を紹介
目次
サービスの改善や開発をするうえで必要な架空のユーザー像「ペルソナ」。具体的な設定項目がわからなかったり、1から設定することに難しさを感じたり……と、ペルソナを設定する際につまづいてしまったことはありませんか?
そんなときに活躍するのが、ペルソナ設定のフォーマット「ペルソナ設定シート」です。
この記事では、ペルソナ設定シートの作り方やメリット、作成時の注意点について解説します。
ペルソナ設定シートとは
ペルソナ設定シートとは、自社サービスの典型的なユーザー像である「ペルソナ」の情報をまとめたものです。
ペルソナ設定シートには、性別や年齢といった基本情報に加えて、休日の過ごし方やSNSの活用方法などの人物像がわかるような定性情報も具体的に記入します。
ペルソナ設定シートを作成するメリット
ペルソナ設定シートを作成するメリットを3つ紹介します。
チーム内で認識を揃えられる
ペルソナ設定シートを作成することで、ユーザー像の認識をチーム内で揃えられます。
とくにさまざまな立場のメンバーが関わるプロジェクトでは、メンバー間でユーザー像の認識を一致させることが難しく、わずかな認識の差で、目指すべき方向性がぶれてしまうなどプロジェクトにおおきな影響を与えてしまうことも。しかし、ペルソナ設定シートでユーザー像の認識を揃えることで、プロジェクトを円滑に進められます。
ユーザーニーズをより深く理解できる
ペルソナ設定シートにユーザーの性格や趣味、休日の過ごし方など、価値観やライフスタイルに関する項目を記入することで、ユーザー像が具体化されます。
それに伴い、ユーザーが抱えている課題やインサイトの解像度も上がるため、ユーザーニーズをより深く理解することへ繋がるのです。
ユーザーニーズに合ったサービスを展開できる
ペルソナ設定シートを通してユーザーへの理解度を高めることで、ユーザーニーズとサービスが提供しているものとのギャップが見つかります。ユーザーの視点でサービスの改善や開発ができるため、よりユーザーニーズに合ったサービスを展開できるでしょう。
また、ペルソナ設定シートを作成する際にSNSの活用方法や休日の過ごし方などの定性情報も定義しているため、プロモーションを展開する際にも、ペルソナ設定シートを活用することが可能です。
BtoBでもペルソナ設定シートが必要
ペルソナ設定シートはBtoCのみで必要なものだと思われることが多いですが、BtoBでも活用できます。
BtoBの場合は、さまざまな部署や立場のメンバーが関わったり、担当者と決裁者が異なったりする理由から、コンバージョンに至るまでのプロセスがBtoCと比べて複雑です。
そのため、BtoBのペルソナ設定シートでは、企業の担当者や決裁者など、立場ごとにペルソナ設定をしましょう。立場ごとにペルソナを設定しておくことで、それぞれの関係者に適切なアプローチができるようになります。
ペルソナ設定シートの作り方
ここからは、ペルソナ設定シートの作り方を説明します。
ペルソナ設定シートの項目を決める
まずは、ペルソナ設定シートの項目を決定します。ペルソナの主な項目例は以下のとおりです。業界やサービスによって設定するべきペルソナの項目は異なるため、下記以外にも必要だと思った項目は追加してみてください。
【BtoC】ペルソナの項目例
基本情報
- 名前
- 顔写真
- 性別
- 年齢
- 職業
- 年収
- 居住地
- 家族構成
定性情報
- 性格
- 趣味
- 興味・関心があること
- 一日の過ごし方(起床・就寝時間、勤務時間など)
- よく使うデバイス
- SNS・インターネットの使い方
- 最近の悩み(プライベート・仕事問わず)
- やってみたいこと、目標
【BtoB】ペルソナの項目例
BtoBのペルソナを設定する際は、担当者や決裁者といった立場ごとのペルソナを作成します。
担当者
- 名前
- 顔写真
- 性別
- 年齢
- 企業名・業種
- 売上高
- 従業員数
- 提供している商品・売り上げ
- 社風
- 部門・役職
- 担当業務
- よく見るメディア・情報収集方法
- 現在置かれている状況
- ビジネス上の課題
- 解決したいこと(ゴール)
決裁者
- 名前
- 顔写真
- 性別
- 年齢
- 企業名・業種
- 売上高
- 従業員数
- 提供している商品・売り上げ
- 社風
- 部門・役職
- 担当業務
- よく見るメディア・情報収集方法
- 現在置かれている状況
- ビジネス上の課題
- 解決したいこと(ゴール)
情報収集をする
ペルソナ設定シートの項目が決定したら、項目ごとに情報収集を行います。「実在しそうなひとりのユーザーを作ること」を意識しながら、情報収集を行いましょう。主な情報収集の方法は以下のとおりです。
ユーザーインタビューを開催する
ユーザーインタビューは、実際にサービスを使っている、もしくは新規サービスのターゲットとなるユーザーに直接質問をして、課題に感じていることや求めていることを聞き出す手法です。開催するための費用や手間はかかりますが、生の声を聞くことができるため、よりユーザーに近い視点でペルソナを設定できるでしょう。
アンケートを実施する
アンケートは、簡単な質問で、幅広いユーザーのニーズを把握する方法です。選択式や記述式などの方法があり、母数をできるだけ多くしたいのであれば選択式、より自由な意見や詳細な回答を知りたいのであれば記述式でのアンケートがおすすめです。ユーザーインタビューと同じく、実施する費用や手間はかかりますが、実施すればユーザーについての理解を一段と深めることができるでしょう。
公的機関が発表している調査データを参考にする
行政機関や地方公共団体などの公的機関が発表した調査データからも、ユーザーに関する情報を収集することが可能です。知りたい内容と近い調査であれば十分に活用することができますが、サービスや事業の内容と関係性がなかったり、情報が古くなっていたりすることが多いため、活用する際は調査の概要や実施年を念入りに確認するようにしましょう。
参考サイト:e-Stat 政府統計の総合窓口|総務省統計局・独立行政法人統計センター
ユーザーとの接点が多い社員にヒアリングする
ユーザーとの接点が多い、営業やカスタマーサポートなどの自社の社員に、実際にユーザーと接して感じた課題やニーズについてヒアリングする方法も有効です。自社内で完結するため、他の手法よりも手軽に実施できる点がメリットです。しかし、あくまで既存サービスのユーザーの意見であるため、サービスを新規開発する際は参考にならないことや、ユーザー視点ではなく社員目線での意見になってしまいやすいこともあります。
ペルソナ設定シートに情報を落とし込む
情報収集ができたら、ペルソナ設定シートに集めた情報を抜け漏れなく反映させていきます。このとき、それぞれの項目を簡潔かつ具体的に記入することを意識しましょう。
ペルソナ設定シートを作成する際の注意点
ペルソナ設定シートは、正しく作成できればサービスの改善や新規開発に大きく貢献できます。しかし、想像だけを頼りに自社にとって都合の良いペルソナを設定してしまったり、ペルソナ設定シートに書いてある項目が曖昧でユーザー像をイメージできなかったりすると、作成した意味がなくなってしまうことも。ここでは、ペルソナ設定シートを作成する際に注意すべき点を4つ紹介します。
定期的にブラッシュアップする
時間の経過とともにトレンドや市場環境は大きく変わるため、ペルソナ設定シートは作成したあとも定期的にブラッシュアップ(更新)する必要があります。一般的にペルソナの賞味期限は1年ほどといわれているため、作成から1年が経過したら内容を見直してみましょう。
見直す際は、古くなった情報を更新するだけでなく、新しく得たユーザーに関する情報を追加することで、ユーザーの行動傾向やトレンドを反映したペルソナ設定シートにブラッシュアップできます。
誰が見ても同じ認識になるように作成する
ペルソナ設定シートを作成する目的の一つは、「関係者の間でユーザー像のイメージを揃えること」です。そのため、ペルソナ設定シートは誰が見てもユーザー像の認識が同じになるように作成しなくてはいけません。具体的には「漏れや重複がないか」「具体性があり人物像を想起できるか」「ユーザーに関する情報は網羅できているか」「専門用語を使いすぎないていないか」などを意識しながら作成します。
主観や思い込みで設定しない
ペルソナは架空の設定ですが、主観や思い込みではなく実際のデータに基づいて設定する必要があります。主観や思い込みだけでペルソナを設定してしまうと、実際のユーザーとかけ離れてしまい、せっかくペルソナ設定シートを作成しても本来のユーザーニーズを把握できなくなってしまいます。ペルソナ設定シートをサービスの改善・開発に生かすためにも、データやアンケートなどの事実に基づいたペルソナを設定しましょう。
人物像や特徴が理解できるように具体的に書く
ユーザー像の解像度を上げるために、ペルソナ設定シートには具体的な内容を書き、できるだけ曖昧な表現は避けましょう。たとえば「たまにコーヒーを買う」だけでは、週に一度なのか、もしくは月に一度なのか、ペルソナ設定シートを見る人によって思い浮かべるイメージが異なってしまいます。認識を揃えるためには「月に一回コーヒーを買う」のように、数値を用いた具体的な表現で記載することが必要です。
また、具体的な人物をイメージするために、ペルソナ設定シートに顔写真を貼ることも効果的です。イラストよりも具体的な人物をイメージしやすくなり、より精度が高いペルソナを設定することができるでしょう。
ペルソナ設定シートを活用して、よりユーザーに刺さるサービスへ
ペルソナ設定シートは、BtoB、BtoCを問わず「具体的にひとり(1社)のユーザーをイメージできる」ところまで作り込むことで、ユーザーニーズに沿ったサービス改善や開発、効果的なプロモーション展開などに活用できます。ペルソナ設定シートを通じてユーザーが課題に感じていることやユーザーニーズを正しく理解し、よりユーザーに刺さるサービスを目指しましょう。
ただ、なかには、完成したペルソナ設定シートが事実に基づいているか、主観や思い込みで作られていないかが不安な方や、シートをどのように活用しながらサービスへ反映していけば良いのかわからない方もいらっしゃるでしょう。
そんな方へ、UX Design Labでは、ユーザーインタビューやペルソナ設定を含めたUXデザインで、サービス全体の課題を発見・分析し、改善までをサポートしております。UXリサーチを通して、ユーザー視点とマーケティング視点の両方から課題を発見・分析。さらに、サービスの成功を目指して、リリース後のコンテンツマーケティングや運用改善も行います。
UXデザインで課題を発見・分析・改善
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